【横浜市役所】実際の面接試験の流れと質問内容
公務員試験の面接試験対策と聞くと、
「志望動機とか自分の強みとか聞かれるしまず自己分析しろとか言うんでしょ」
「実際どんなこと聞かれるのか知りたいんだけど」
「当日どんな感じなのかイメージが湧かないんだけど」
と言う相談者の方がいます。
まるで数年前の自分を見ているようで、大変親近感を抱きます。そりゃそうですよね。実際にどんな雰囲気でどんなことを聞かれるのかを真っ先に知りたいですよね。
というわけで、今回は私が実際に受けた横浜市役所の面接試験の様子をそのまま書いてみようと思います。数年前の出来事なので、今は異なるかもしれませんのでそのあたりは予めご了承ください。
横浜市役所の大卒一般事務は、択一式と専門時事論文試験の後に、二次面談と三次面接があります。はい、お気付きの通り、二次は「面談」、三次は「面接」です。若干の違いはありますが、どちらも普通の面接対策をしていれば大丈夫です。
二次面談
集合から受験までの流れ
会場は、人事委員会が入っている横浜市内の某ビル。横浜市役所は2020年に新庁舎に移転したので、現在は別の会場かもしれません。
まずは受験者控え室に通されます。受験番号ごとに面談の開始時刻は違いますが、それに伴って集合時間も受験生ごとに別々に設定されているので、控え室での待ち時間は短かったです。
同じ時刻に控え室に集合していたのは24名でした。面談は個人面談ですが、大部屋にA〜Hの8箇所のブースが用意してあり、受験生8人が同時に面談を受けます。それぞれの場所で1番目〜3番目までいて、合計24名。
私はCの1番目だったので(これは控え室で発表されるので事前には分かりません)、待ち時間はほぼゼロでした。面談は1人20分程度なので、3番目の人たちでも待ち時間は1時間程度です。
控え室でそれらの説明を受けて、ほどなくして控え室の内線が鳴り、1番目の8人が職員に連れられて控え室から面談会場へ移動します。シーーーーンとした状態で8人+職員がエレベーターに乗り、会場前へ。独特の雰囲気です。
会場の中から合図があると、8人が順番に「失礼します」と挨拶して中へ入っていきます。
「面談」というだけあって、それほど重苦しい雰囲気ではありません。面接官も三次面接に比べると若いです。それもそのはず、二次面談をやるのは「係長級または課長補佐級」「課長級」の2人。三次面接は「課長級」「部長級」で計3人いて、しかも個室ですから、やはり雰囲気は異なります。
当然ですが、大部屋の中でブースで仕切ってあるだけなので、他の受験生の話し声も結構聞こえます。内容の詳細までは聞こえなくても、隣のブースに関しては、笑ってるなとかつまづいて無言になってるなとか、おおよその雰囲気は伝わってきます。個人差はあるでしょうが、会場の雑音があることで、かえって自分の緊張がほぐれるのではないかと思います。
面談で質問された内容
質問された内容は下記の通りです。
40代後半(と思われる)課長級女性職員から
- 面接試験というのは久しぶりですか?あまり緊張なさらないでくださいね。(導入)
30代前半(と思われる)係長級男性職員から
- 現在の職場はどういうところですか?仕事内容も含めて分かりやすく説明してください。
- 今働いている部署は何人くらいの職員が働いているのですか?
- なぜ事務区分で受験したのですか?
- 今の仕事から公務員への転職はかなり勇気の要ることだと思いますが、なぜこのタイミングで受験しようと思ったのですか?
- 横浜市の「100万人の健康づくり戦略」のどの部分に興味があるのですか?(←エントリーシートに興味あるって書いたので)
- 仕事でミスをしたことはありますか?どう対処しましたか?
- 一番苦労したクレーム対応やお客様対応はどんな感じでしたか?どう対処しましたか?
- 現在は○○市や○◯も併願していると書いてありますが、合否や経過はどうですか?どのような意図で併願したのですか?
40代後半課長級女性職員から
- なぜ横浜市を受験しようと思ったのですか?他の自治体ではダメなんですか?
- あなたは現在横浜市外にお住まいですが、市外から見て横浜市はどのように見えますか?どのようなところが魅力的だと思いますか?
- (↑この質問の回答を踏まえて)なぜ横浜市は時流に応じて機敏に政策を打ち出せるのだと思いますか?
- 現在の職場で、チームの一員としてチームをまとめるのと、リーダーとしてチームをまとめるのとで、どのように違いますか?また、共通して気をつけていることはありますか?
- 部下指導ではどのようなところが大変ですか?
- もし横浜市に入庁したら◯◯局での仕事を希望しているようですが、入庁後ずっと希望の部署や仕事に就けないこともありますが大丈夫ですか?
三次(最終)面接
今更ですが、横浜市役所のだいたいの受験者と合格者の人数は、
【一次】受験者3,000名 → 合格者1,000名 →【二次】合格者500〜600名 →【三次】合格者200名
くらいです。三次面接までくればもうあと少し。でもここが最大の山場です。ここまで絞り込まれた受験生たちが最後の面接に挑むわけですから、念入りに準備が必要です。
控え室から受験会場までの流れは二次面談の時と似たようなものですが、今回は個人面接なので、一人一部屋ずつに入っていきます。時間は25分程度です。
面接官は先ほど書いた通り、「課長級」2人+「部長級」1人=合計3人です。雰囲気も雑談という感じではなく、二次面談よりは厳かな感じです。とはいえ、普通の面接試験の感じなので、緊張はしすぎずに平常心で臨めば大丈夫です。
面接官は40代〜50代の男性職員3人だったので、誰がどの質問をしたかまでは記憶の区別はついておりませんが、圧迫面接っぽいことはありませんでした。ただ役割分担はされていて、真ん中の人(おそらく部長級)は突っ込んだ質問をする、両サイドの2人(おそらく課長級)はたまに雑談っぽい質問も交えて緊張感をほぐす、といった感じでした。
面談で質問された内容
- 今の職場は何人くらいの職場ですか?あなたはそこでどのようなポジション?
- 横浜市でどのような仕事をやりたいですか?
- (↑この質問の回答を踏まえて)それに関して、現在横浜市で取り組んでいる政策で携わりたいものはありますか?
- (↑この質問の回答を踏まえて)それ以外にあなたの興味のある仕事は何かありますか?
- あなたが横浜市でやりたい仕事はどのような部署でやっているか知ってますか?
- 希望の部署とは違うところに配属になっても大丈夫ですか?
- もし入庁したら、高卒もいるし、年下の人たちと同じ新卒扱いになるけど大丈夫ですか?
- 今までの仕事で培った知識やキャリアが全く不要な仕事に就いても大丈夫ですか?
- なぜ公務員になろうと思ったのですか?
- 休日は何をしていますか?ストレス解消法は何かありますか?
- 子育てや家事の分担は奥さんとどのようにしていますか?何かルールは決めていますか?
- (当時は土曜も仕事だったので)土曜日も出勤だと子供と過ごす時間が短くて寂しくないですか?
- 今までに仕事で大変だったことは何ですか?どう乗り切りましたか?
- 今も立派な仕事をしているのに行政職員になっていいの?キャリアリセットになりますよ?
- 教育や子育て関連で、今後横浜市ではどのような政策ができると思いますか?
- (↑この質問の回答を踏まえて)子供にはやはり家でゲームより外で遊ばせた方が良いと思いますか?
- 家でゲーム三昧の他に、子供にとって悪影響を及ぼしそうなことって何が考えられますか?
- 保護者のモラルやマナーについて、行政側からできることは何かありますか?
- 今までの転職歴について、その経緯を教えてください。また、今振り返ってみてどう思いますか?
- 今までの仕事とは全然違う、行政の仕事に挑戦するのは不安ではないですか?
- 職場の人はあなたが公務員試験を受験していることを知っていますか?
- 合格したら今の会社を辞めることになりますが、引き止められませんか?
- 現在の仕事の業界では、転職はよくある話ですか?
- 横浜市に入庁したら一生横浜市で働きますか?嫌になることはないですか?
回答時に意識すべきこと4つ
横浜市役所に限らず、公務員試験の面接に臨む時に、常に意識しておくべきことがあります。
1.各質問に対する回答時間は30秒程度にする
質問項目数を数えてみると、二次面談は20分で15問、三次面接は25分で24問(うち4問は2回質問されているので延べ28問)でした。一問一答の試験とはいえ、面接も人と人との会話やコミュニケーションの一環です。前の質問や回答とリンクしている項目も多いので、テンポよくラリーのように続けていく方が、自分も面接官もお互いが気持ちよく進んでいきます。噛み合った会話がテンポ良く続けば、「できる人だな。こういう人と一緒に仕事したいな」と思ってもらいやすくなります。
およその目安ですが、面接時間=質問項目数がちょうど良いテンポです。
質問時間10秒→回答を考える時間5秒→回答時間30秒→面接官が回答をメモする時間10秒
で約1分です。
私は二次面談終了後、面接時間>質問項目数だったため、やや回答が間延びしたなと反省し、三次面接ではより簡潔な回答ができるように心がけました。
2.結論を先に言う
全ての質問に対して、簡潔に30秒以内に回答しようと思ったら、これがテクニックとしては手っ取り早いです。閉じた質問なら「はい」か「いいえ」、開いた質問なら「〜だと思います。理由は〜だからです」「〜に関心があります。なぜなら〜だからです」というように、まず最初に核心となる回答を表明しておくと、聞き手にも分かりやすく伝わります。
3.偏った考えではなくバランス重視の回答をする
先ほどの三次面接の質問項目で、「子供には家でゲームより外で遊ばせた方が良いか?」というものがありました。これはいわゆるコンピテンシー型の質問の一部で、
(Q)教育や子育てでどのような政策ができると思うか? 【A】子供達がゲームばかりするのではなく、外で遊ぶためのきっかけ作りを、行政が学校や地域と連携してできたら面白いと思います。 (Q)やはり子供にはゲームより外で遊ばせた方が良いか?
という流れでした。
ここで避けた方が無難なのが、「はい。外で遊ぶ方が健康な子供になると思うので、ゲームはしない方がいいです」というような、偏った意見を言うことです。
公務員というのは、常に公平公正中立の立場が求められ、一部ではなく「全体の奉仕者」でなければなりません。どちらかに偏る考え方より、バランスのとれた考え方や柔軟な発想を持っている職員が望まれます。全ての質問に対してそうであれというわけではありませんが、常に「バランス感覚は大切だ」という意識を頭の隅に置いておくのはとても重要なことです。
私は先ほどの質問を聞いた時に、「あーこれは考え方のバランス感覚を試されているな」と感じたので、
【A】どちらも適度に楽しむのが良いと思います。今の子供達は生まれた時からインターネットやデジタル機器が当たり前のように身の回りにあるので、それらに馴染むという意味では有益なことですし、その一方で外で走り回ることも健康な発育には大切なことだと思います。
と回答しました。回答後、真ん中の部長級職員の面接官が「うんうん」と静かに頷いていたので、無難な回答ができたのかなと思いました。
4.「今の仕事辞めちゃっていいの?全然違う部署に配属でもいいの?」は繰返し聞かれる
民間企業から公務員に転職しようとすると、必ず聞かれる質問です。が、二次でも三次でもここまで繰返し聞かれるとは正直思っていませんでした。また、これは横浜市役所に限らず、他の自治体の面接でもたびたび質問されました。これは、その人が現在どのような仕事をしているかや、過去の転職歴の内容にもよると思うので、一概には言えないでしょうけど、ある程度心づもりはしておいた方が良いと思います。
つまり、それだけ「入庁後に『こんなはずじゃなかったのに』と思ってほしくない」「もし受かっても数年後にはまた転職してしまうのではないだろうか」と思っているということです。裏を返せば、この人は合格させたい、こういう人と長く一緒に働きたい、私たちの不安を払拭してほしい、という気持ちの表れでもあるかもしれません。それさっきも聞いたじゃん?と不審がらずに、何度聞かれても「大丈夫です!」と根気よく説得するように回答しましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。
面接慣れしてくると、徐々に面接中の雰囲気で「この質問はこんな回答を求めているんだろうな」「そろそろ合格させてもいいかなぁくらいに思っているな」「合格に近づいてはいるけど決め手に欠くなぁって思っているな」「あ、もう合格したな」というのが分かるようになってきます。
また、質問項目を一通り見ると、意外と「志望動機」や「過去に力を入れて取り組んだこと」に関する質問が少ないと感じると思います。先ほども言った通り、面接試験とはいえ、本質は人と人との会話です。面接官は受験生が用意周到に準備してきた回答を聞きたいのではなく、様々な質問を通じてその人の本来の人間性や考え方を見たいのです。ですが、私たち受験生は、そのさらに上をいく回答を準備し、その場で考えた風に、あるいは人間性がにじみ出ているように、面接官に披露して納得してもらう必要があります。
そのためにも、想定問答をたくさん用意し、突飛な質問が来ても準備した回答をいくつか組み合わせれば答えられるように対策しておきましょう。私の場合、想定問答は約100問、A4用紙20ページ分を準備しておきました。これは最終合格後、実務教育出版の合格体験の取材時に見せてほしいと言われ、インタビュー後に全てのデータを提供しました。後進の一助となっていることを願うばかりです。
あわせて、この記事が、民間企業から地方公務員に転職しようとしている方々のお役に立てることを願っております。
具体的な面接対策についてはこちらをどうぞ↓