志望動機の書き方

 エントリーシートや面接カードで最初に「はぁ・・・何書こう・・・」ってなるのが【志望動機】の欄だという方も多いのではないでしょうか?

 

 私も最初はそうでした。どう書けばいいのかが分からない。合格する人たちはどんな風に書いているのかが知りたい。

 今回は、そんな方々に少しでも参考になればと思い、私なりの志望動機の書き方を紹介します。

 

本音はとっくにバレてる

 志望動機の書き方の前に、まずはなぜ自分がその自治体の地方公務員になりたいと思ったのか、ホンネの部分を洗い出してみましょう。

 

私の場合は、

  • シフト制より土日休みがいいなぁ
  • 休みが取りやすいのがいいなぁ
  • 立ち仕事より座ってデスクワークがやりたいなぁ
  • 飽きっぽいから3年ごとに全然違う部署に異動するくらいがちょうどいいなぁ
  • 17時過ぎに仕事が終わるのいいなぁ
  • どんどん昇給するし平均年収が一流企業並みでいいなぁ
  • 地方公務員だと転勤がないからいいなぁ

挙げればきりがありませんが、要するにクズですね。こんな志望動機のままに役人になられたら、そこの住民の方が不憫でなりません。しかし、私がまだ公務員のことをよく知らなかった時、一番最初に「公務員試験ってのを受けてみようかな」と思った頃は、せいぜいこんなもんでした。

 そして、今挙げた私の志望動機、「実は私も・・・」と、共感してしまっている方も多いのではないでしょうか?

 

 公務員試験の採点に携わる人たちは、すべてお見通しです。

「どうせ受験生の大半が本音とは全然違うもっともらしい志望動機を書いてるだけでしょ」

「公務員ならどこでもいいって思っていて、一次試験で通ったのがうちだったから面接に来ただけでしょ」

くらいのことは考えています。これまでに何百人ものエントリーシートや面接カードを見て、面接をして、中には自分が面接した人がその後入庁して自分の部署に配属になって一緒に仕事をして、お互いの当時の印象まで語り合ってきているような、「人を見るプロ」たちが公務員試験の採点をしているのです。

 

 エントリーシートや面接カードには、そんな百戦錬磨の人たちが見ても納得するような、あるいは「面接でもっと話を聞いてみたいな」と思えるような、そういう志望動機を書き上げる必要があります。本音はバレている前提。そこからいかに「そうじゃないんだ!本当にここの自治体で公務員になりたいんだ!」ということを納得してもらうか。単なる熱意ではなく、理由づけをして説得力をもたせましょう。

 

「志望動機」が持つ2つの側面

 そもそも、なぜどこの公務員試験でも毎年毎年志望動機を聞いてくるのか?
それはやはり、その自治体の公務員として働こうとする本気度を知りたいからです。

 ただし公務員試験の志望動機は、エントリーシートや面接カードのような「書面」で書かせる場合と、面接試験で直接問うような「口頭」で答えさせる場合とで、少し意味合いが違います。

 

1.書面で書かせる場合

 「本当にうちに入庁したいの?本当は滑り止めなんじゃないの?公務員ならどこでもいいと思ってるんじゃないの?」と思っている相手に、文章だけで思いの丈を綴り納得してもらう、いわばラブレターのようなものです。相手が求めているのは「地域に貢献したい」だの「市民生活を支えたい」だのありきたりな文章ではなく、なぜあなたが全国1,700以上もある自治体の中からわざわざうちを選んだのか?を納得させてくれるような、あなたならではの独自性と説得力のある文章です。

 

2.面接で答えさせる場合

 「必ず聞かれる質問だからどうせ予め準備してきた回答があるんでしょ?面接で聞きたいのはもっと本音の部分や意外な質問に対する回答だから、その用意してきたやつは今のうちにさっさと吐き出しちゃってよ」という感じで、最初に質問して次の質問に移るための導入です。志望動機は?と聞いて返ってくる回答そのものよりも、それを元に「なぜあなたはそう思ったの?」「それなら他の自治体でもできるとは思わなかったの?」と、二の矢三の矢を飛ばして返ってくる回答こそが、面接官が本当に聞きたい部分です。

 

 このように、書面で書く場合は「その回答こそが超大事。一撃で納得してもらいたい。目をひかせてじっくり読んでもらおう」、面接で答える場合は「単なる導入。大事なのはその後。なんなら多少言葉足らずでも追加で質問できるから大丈夫、サラッといこう」という感じで、若干意味合いが異なります。

 いずれにせよ、当然ながらエントリーシートや面接カードに書く志望動機欄はとても重要です。最終面接まで影響する書類なので、しっかりと練り上げて書きましょう。

 

志望動機の構成に必要な5項目

 志望動機の書き方は様々あると思いますが、下記の項目を入れて構成すれば、だいぶ説得力のあるものに仕上がります。

 

  1. なぜ民間企業ではなく公務員でなければいけないのか?
  2. なぜ国家公務員ではなく地方公務員なのか?
  3. なぜ他の都道府県や市区町村ではなくその自治体なのか?
  4. 自分のどのようなところが公務員に向いていると思うか?
  5. 採用されたらどのような仕事に貢献できる(取り組みたい)か?

 

 記入欄の都合などで、もしこれらの中で書かなかった項目があったとしても、面接では必ず聞かれますので回答は用意しておく必要があります。1〜3は必須項目です。書いておかないと、「別にうちじゃなくてもよくない?」と思われてしまいます。

 

 4と5を見て、「それ、志望動機というか自己PRじゃない?」と思った方もいるかもしれません。
 そのとおりです。志望動機と自己PRはリンクしています。自己PRは、自分の「過去と現在」を元に適性をアピールしていきます。志望動機は、自分の「現在と将来」についてアピールすることになります。一貫して、自分とはこういう人間だ、という自己分析が必要になります。

 

 また、志望動機を文章に仕上げていく際のテクニックを2つご紹介します。

 

1.箇条書き形式にする

必ずしも「箇条書き」である必要はありません。箇条書き「形式」にすると読みやすくて良いということです。例えばこんな感じです。

 

私が○○市を志望する理由は、大きく二つあります。第一に、・・・からです。第二に、・・・と考えたからです。
私が○○市を志望した理由は、下記の2つです。
①・・・や・・・などの取組みに共感したため。
②過去に・・・という経験をし、○○市の・・・の施策に貢献したいと考えたため。

 ただし、志望動機の記入欄が5行程度しかなければ、わざわざ箇条書きにするのではなく、簡潔な文章で普通に書いた方が良いです。大まかな目安ですが、10行以上あったら箇条書きを検討した方が良いかなと思います。私はそのようにして両方を使い分けていました。

 

2.体験談やエピソードを交える

 どの項目も、理由づけとして自分のエピソードを交えることが説得力につながります。例えば、ただ「○○市の・・・という仕事に携わりたいです」と書くのではなく、「私は・・・という経験をして、・・・ということを学びました。その時・・・と考え、この経験は○○市の・・・という施策にも貢献できると考え、私も携わりたいと思いました」のように書くと、あなたならではの独自性のある内容になり、説得力が格段に増します。

 以上を踏まえて志望動機の一例を示すと、こんな感じになります。

 

私は・・・での仕事を通じて、・・・ということを経験してきました。その中で・・・ということを感じ、・・・のような仕事をしたいと考え、公務員を目指しました。特に○○市では・・・の施策に力を入れており、・・・という面で自分の経験が活かしたい思い、志望いたしました。

 これを基本骨格として、あとは記入欄の大きさに応じて経験談と取り組みたい仕事を増やしたり、それに応じて箇条書き形式にしたり、自分の公務員への適性をエピソードを交えて書いたり、いろいろアレンジしていけば、独自性と説得力があり面接に繋がりやすい志望動機を仕上げることができます。

 

志望動機が完成した後にやること

 さて、志望動機がバッチリできあがったら、そこでおしまいにしたらもったいない!!!
 先ほどもお伝えしましたが、志望動機と自己PRはリンクしています。どうせ自己PRも考えないといけないなら、志望動機と一緒に考えておくのが効率的です。自分にはこんな経験がある、こんな仕事をしてきた→だから公務員になったらこんな仕事に役立つことができる、というのは、志望動機であると同時に、まぎれもなく自身の強みであり、立派な自己PRになります。

 特に民間企業から公務員に転職しようとする場合は、面接で必ずと言っていいほど「採用されたらどんな仕事に携わりたいですか?」「うちにとってあなたを採用するメリットは何ですか?」などと聞かれます。いずれも「自身の経験→強み→自己PR」の流れで回答できます。

 

 せっかく志望動機を練り上げたのなら、同時に「やりたい仕事」「自己PR」「その自治体で自分が貢献できること」くらいはまとめておくと、面接対策にもなります。面接対策は一次試験が合格してから取り掛かる人も多いですが、圧倒的に遅いです。その人たちに勝つためにも、ぜひ早めに考えておきましょう。早めに考えてWordにまとめておくと良いです。本格的に面接対策をするようになったら、そのWordの続きから想定問答集を作っていけばいいのです。

 私が実際にやって上位合格を果たした面接対策は、こちらに書いておきましたので合わせてどうぞ。

hanatojuku.hatenablog.com

 

私が受験前に度々開いて参考にしていた書籍はこちらです。2022年版も出ているようです↓